GYALLERY HOUSE MAYA2023年「装画を描くコンペティションvol.22」アルビレオ賞

2023年「装画を描くコンペティションvol.22」でアルビレオ賞を戴きました。

『ノラや』内田百閒

百閒さんは、出歩く際、必ずあちこち猫がいそうなところを覗いて見て回っただろうと思われ、塀の向こうにそっと「ノラや…」と囁いてみるも、何の気配も無く「ああ…いったいどこへ行ったんだ…」と、力無くしょぼんとしゃがみ込んでしまった、そんな百閒さんの姿を描こうと思いました。


昭和32年の話なので、東京の道路が舗装されていたか、側溝は塞がれていたかなど、当時の道路の様子を調べることに一番時間がかかりました。


そして、ノラがいなくなったのは3月27日の事。
世の中の人が桜を愛でウキウキしてた頃、百閒さんはノラの事で頭がいっぱいで桜どころではなく、気づけば道路には散り桜…。周りが陽気な分、余計に百閒さんの悲しみが際立つかなという思いで、葉桜になりつつある庭木を描き入れてみました。こちらにラフや過程を少し載せてあります。